今まで食べられていたのに、、、
高齢者や、歯科治療中の方で、今まで食べられていたものが食べにくく感じている方はいませんか?
当院の患者様からもたくあんやするめいかなどが食べにくくなったという相談を受けることがあります。ご高齢の方や、歯科治療中の方、入れ歯を入れている方は、噛む力が弱くなったり、入れ歯が合わなくなったりしたことで噛みづらさを感じているようです。
噛みづらいからと、そのままお食事を取り続けていると、無意識のうちに噛む回数が減り、お口の中で食べ物が細かくならないまま飲み込むので、胃腸に負荷がかかります。
では、やわらかいものだけを食べればいいのでしょうか?
柔らかいお食事ばかりでは唾液の分泌が減り、口内環境の悪化につながります。また、柔らかいお食事に慣れてしまうと、噛む力が更に弱くなります。
普段のお料理のやり方を少しだけ変えることで、噛みづらさを感じている方も食べ慣れた味のお料理を、家族と一緒に食べることができます。今回は噛みづらさを感じでいる方が、ご家族と同じメニューを食べられるようにする工夫を紹介していきたいと思います。
食材を噛みやすくする工夫
①柔らかくなるまで加熱する
人それぞれ噛める力には差があります。それぞれに合わせた柔らかさになるまで加熱をしましょう。ご自身で全く噛めないと感じている方は、上顎と舌で潰せる程度の硬さがおすすめです。
②柔らかい食材、調理法を選ぶ
・肉類、魚類
肉類、魚類に共通して、加熱しても身が締まって固くなりにくいものを選びましょう。また、パサパサすると、食塊(食べ物を口の中で飲み込める状態にすること)を形成しにくいので適度に脂身のある部分を選びましょう。肉類の場合、筋を切ると噛み切りやすくなります。
~加熱しても固くなりにくいおすすめの肉類、魚類~
牛もも、牛ヒレ、豚もも、タラ、アナゴ、カレイ、イワシ
※バラ肉や手羽先は、脂肪やコラーゲンを多く含みます。手間と時間はかかりますが、じっくり煮込むことで柔らかく、食べやすくなります。
※魚は1年の中で体の中の脂肪の量が変わります。旬の魚と言われるものは、赤ちゃんを生む前の時期で脂肪を多く蓄えます。味も良くなるので、旬の魚をぜひ味わいましょう。
・野菜類、きのこ類、海藻類
野菜類、きのこ類、海藻類には繊維が多く通っています。繊維が硬いものは噛み切りにくかったり、飲み込むタイミングがわからなくなったりしてとても食べにくい食品です。これらの食品は繊維を断ち切ってあげると食べやすくなります。
葉物野菜や薄い昆布などの厚さのないものは思っている以上にかみづらい食品です。くるくる巻いて厚みを持たせてあげると食べやすくなります。葉脈を切るように隠し包丁を入れると、刃物の中でも硬い部位も食べやすくなります。
芽ひじきのような食品は口の中でバラバラになりやすい食品です。白和えやマヨネーズ和えなどにすると口の中でまとまります。
・主食
ご飯は比較的食べやすい食品ですが、噛む力が弱くなった方や、歯科治療中の方はおくちの中でうまく潰せなかったり、まとめられなかったりします。
ご飯類は炊くときの水の加減で硬さを調整しましょう。家族のご飯と別に柔らかいご飯を炊くことは手間も時間もかかります。炊飯器の中に耐熱の容器を入れ、少量だけ柔らかく炊く方法や、炊きあがったご飯を茶碗に移し、水とラップをかけて電子レンジで加熱をするなどして、柔らかいご飯は用意できます。
麺類はすすると麺に絡まった汁が気道に入るとむせやすく、誤嚥性肺炎の原因になります。いつもより少し柔らかく茹て、3~5センチほどの長さにキッチンバサミなどでカットしましょう。
パンやクッキーなどパサパサするものはお口の中の水分を持っていってしまい、飲み込みにくくなります。また、クロワッサンなどの層がパリパリした食感のものは上顎にくっつき、食塊を作りにくい食品です。このようなパサパサするものは、牛乳などの水分に浸しながら食べましょう。
③入れ歯や被せ物を調整する
入れ歯があっていない。被せ物の高さが合わないなど、歯科治療をした箇所に違和感を感じたまま食事を取っていませんか?
合わない入れ歯や被せ物を使い続けていると、単に噛みづらいだけでなく、お食事を噛むとき、会話をするときにお口に変な力が入り顔や肩周りの筋肉がこる原因にもなります。また、口の粘膜を噛んでしまい、口内炎の原因になったり、入れ歯と歯茎の間にものが挟まったりとお口の健康に悪影響を及ぼします。
少しでも入れ歯や、被せ物が合わないと感じたら、お近くの歯科医院の受信をおすすめします。
まとめ
今回はお食事を噛みやすくする工夫をご紹介しました。噛めないからと家族と全く違うお食事を食べるのではなく、できるだけ同じお食事で、少しでも楽しい時間を過ごせたらいいですね🎶
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